第1430回 いきり立ったが吉日・2008 〜復活〜(三日目、帰国) by ECE
2008年5月

斜陽

朝、目を覚ました時にはあわゆきさんはもういなかった。それは音もたてず、ただ溶けていく、まさにあわゆきのようだった。二日酔い気味の小生はあわゆきさんの温もりが残るベッドで得意の二度寝。再び目を覚ました時にはもうお昼近くになっていた。

トイレで用をたすと黄色を超えた茶色のような尿がでた。肝臓が悲鳴をあげている証拠だ。とりあえず、たっぷりと日光でも浴び、生気を養うことにした。昨日、プールで泳いだことで筋肉痛になっている。身体の内側からと外側からダメージを喰らっている小生は虫の息。昨夜はスーパースターなんて言われてたんだぜ。随分と情けないスーパースターだよ。

1時間ほどでプールをあとにした小生はナナホテルにあるレストランに行き、バーミーを食べた。それからバイタクに乗り、チャオプラーヤ河まで行くことにした。昨夜のG−SPOTと金を使い込んだ分、もう世界1周は諦めざるを得なかった。恐らく、今夜の飛行機で日本に帰るだろう。ならば、ガンジス河を拝めなかった代わりに、チャオプラーヤ河でも拝んで帰国しようと思ったのだ。

バイタクは夕方のラッシュ時だって関係ない。僅か100バーツで小生をチャオプラーヤ河まで連れて行ってくれた。 チャオプラーヤ河は想像していた以上に狭くて汚かった。微かにドブの匂いがする。無理すれば対岸まで泳げそうだったが、それは体力的な問題ではなく、衛生的に無理なように思えた。

観光客を乗せた船や資材を乗せた船が忙しそうに往来している。太陽は柿のような色をして一日の役目を終えようとしている。チャオプラーヤ河に沈む太陽を眺めながら、ハイネケンを飲み、ガラにもなく人間の人生について考えたりもした。

何故、人は産まれてきたのか。これから人はどこにいくのか。人生とは何か。運命とは何か。神は或るのか……。 考えれば考えるほど、答えは出せず、思えばその答えを探す為に今回200万円持って旅にきたのではないのか。そう考えれば小生のアイデンティティーなどG−SPOTで35万バーツを使って狂うことなのかもしれない。どうでもいいや。今夜日本に帰ろう。

一旦ホテルに戻ると、荷造りを済ませてアリバイへと向かった。まだゴーゴーバーは開店してなかったからね。小生が来た合図に景気よくティンカーベルを鳴らすと、店のママが「アナタのニックネームはミスターティンカーベルね」と言って笑った。夜10時10分の飛行機だ2時間前にチェックインするとなると7時半までしか遊べない。世界1周も諦めたことだし、残りの金はG−SPOTだ!!

小生が入店したこの日もまだオープン前だったが、堂々と店に入って行き、ジャスト30分のコールを告げ、DJにチップを渡すと、気を利かせて宇多田ヒカルのリミックスバージョンを流してくれた。

そして、店内を一周し、ママやスタッフに別れをつげると「I SHA LL RITARN IN AUGASUT」と叫び、空港へと急いだ。

世界1周はできなかったが、小生にとっては濃密な3日間だった。

帰国

モノ思う葦

結局、アムスの地は踏めなかった。アルコールのような内側に迫る刺激のかわりに、外側に開かれる快楽を捜そうとしている。 快楽とは物事を特別な角度から眺めることだ。

快楽とは、次第に老いぼれていく、用心深く、口やかましく、いつもびくびくしている肉体の束縛から、ほんの少しのあいだ解放されることだ。たぶん小生は、アルコールの中に捜し求めていたものを、マリファナの中に見出すだろう。

マリファナこそ最後の物になるかもしれない。


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